古代史を語る

古代史の全てがわかるかもしれない専門ブログ

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

五世紀の倭新関係(前編)

《日本書紀》は天武天皇とその後継者の王権のために編まれた。だからその立場からする潤色や付会が多い。従来多くの論者が幻惑される所である。史書の記述に疑いがあるとき、それを確かめる方法の一つは、同じ事柄を扱った別の史書と比較してみることだ。書…

神功皇后と海の権益

《日本書紀》によると、晩年の景行天皇は、纏向まきむくの日代宮ひしろのみやから志賀の高穴穂宮たかあなほのみやに移って、そこで崩御までの三年を過ごした。《古事記》の方にはこのことは見えないが、次の成務天皇が高穴穂宮で天下を治めたとある。穴穂と…

建国の王者―崇神天皇の時代

古代史の発展段階における領土国家時代は、後世の観念から見ても国らしい国ができてくる時期である。都市国家時代には、今の小売店と商圏の関係のような、古代都市とその勢力圏があるだけだったが、領土国家は領土と国境を持つ。かといってこれをあまり近代…

一字の考察「餅」

「餅《へい》」という漢字を日本では「モチ」に当てている。おモチは米を粒のまま搗いて作るから、穀物の粒食の一種と言える。ところが現代中国語の餅《ビン》は麺粉《こむぎこ》を捏ねて作るものを指す。これは昔からそうで、後漢の劉熙が編んだ《釈名》に …