古代史を語る

古代史の全てがわかるかもしれない専門ブログ

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

日本書紀を読む

《日本書紀》は日本における古代帝国的段階の成立までを通観できる唯一の古籍である。その歴史段階上の意義としては《史記》と比較すべきものだが、その性格は大きく異なっている。それが単なる過去の出来事の集積でなくて企図された編集物であるという点は…

卑弥呼の死と都市国家時代の終焉

魏の少帝の正始六年(245)、天子から倭の大夫難升米に黄幢を賜い、帯方郡に付託して授けさせることになった。ところがたまたま帯方郡と諸韓国の間に紛争があり、帯方太守の弓遵は戦死した。この前後のことは、“魏志倭人伝”に 其六年,詔賜倭難升米黃幢,付…

卑弥呼と東洋的古代王権

(承前) kodakana.hatenablog.jp 漢末、倭人諸国間の秩序が乱れ、やがて一人の女子を「共立」して王とした。ここの共の字は《太平御覧》の引用にはなく、どちらが正しいか分からない。しかしもし元から共立であったとすると、「自立」との対比から卑弥呼の…

女王卑弥呼と乃の字の事情

女王の都する所・邪馬台国を訪れた梯儁は、金印や賜物を引き渡すという使命を果たすだけでなく、女王卑弥呼の政治や来歴について調査することも怠りなかった。梯儁はどんな眼でそれを観ただろうか。 そもそも中国の歴史は、古代帝国的段階の前半までは、万事…