古代史を語る

古代史の全てがわかるかもしれない専門ブログ

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

天武天皇評伝(十三) 高句麗の崩壊

高句麗では、この三年ほど前、長く権柄を握った大臣の泉蓋蘇文《ぜんかいすもん(いりかすみ)》が卒去し、長子の男生《なむしゃう》が後を継いで国政を統べた。あるとき、男生は各地を巡察するため、その留守には弟の男建《なむこん》・男産《なむせん》に…

天武天皇評伝(十二) 近江の朝廷

天智天皇の即位元年は、唐は高宗の総章元年、新羅は文武王の八年、高句麗は宝蔵王の二十七年に当たる。 天智天皇は、かつて抹殺した古人大兄《ふるひとのおほえ》王子の息女、倭姫王《やまとのひめおほきみ》を皇后とした。『日本書紀』による限り、王族から…

天武天皇評伝(十一) 天皇の誕生

白村江の会戦より前、皇極王が没した後、中大兄王子《なかのおほえのみこ》は太子のままで「称制」し、七年目になってようやく位を継いだ。『日本書紀』にはそう書いてある。ここで言う「制」とは皇帝の発する命令のことで、「制を称する」とはその位にない…