天武天皇評伝(十九) 壬申の乱・一

「今聞くに、近江の朝廷の臣どもは、余を殺そうと謀っているとか。これによって汝ら三人は、急ぎ美濃国へ往き、安八磨《あはちま》郡の湯沐令《ゆのうながし》多臣品治《おほのおみほむぢ》に会い、戦略の要点を伝えて、まずその郡の兵を興せ。ゆくゆく国司《くにのみこともち》らに触れて、諸々の軍を興し、速やかに不破…