天武天皇評伝(二十六) 崩御

天武天皇の治世十五年七月二十日、年号を立てて朱鳥《あかみとり》元年と称した。孝徳王の白雉以来、改元は久しく忘れられていたことである。朱は赤色の類に属し、赤は五行説では火の色とされる。白は金の色である。かつて戦国から漢の頃にかけて五行説が流行すると、歴代の王朝も木火土金水のいずれかの徳を帯びるものと…