天武天皇評伝(二十) 壬申の乱・二

近江の朝廷では、大海人皇子《おほしあまのみこ》が東国《あづまのくに》に入ったということが聞こえると、動揺する者が多く、ある人は抜けがけして東国へ奔ろうとし、またある人は逃げて山谷に隠れようとしたという。 そこで大友皇子《おほとものみこ》は側近に、 「いまどう計るときであろう」 と問うと、ある大夫が進ん…