天武天皇評伝(十五) 文武王の反撃

唐の高宗の咸亨元年、倭の天智天皇の即位三年、この春にはいよいよ新羅と唐の間に緊張したものが表面化してきた。晩春から初夏にかけて、新羅は高句麗の反抗軍を支援し、唐側の靺鞨兵と戦って大いに勝利した。 夏になると、高句麗の遺臣剣牟岑《こむむじむ》が唐に叛き、安舜《あんしゅん》なる者を君主として立てた。この…