天武天皇評伝(十四) 藤原を散らす冬の風

外交能力は最高の戦力である。ここ数年、倭国の朝廷は唐や高句麗などからの使節をいつも迎えている。丁度平壌城が陥落したかしないかの頃にも、近江の大津宮に新羅からの使者金東厳《こむとうごむ》が訪れた。この時は天智天皇の即位元年・唐の高宗の総章元年九月中旬。その下旬、中臣鎌足《なかとみのかまたり》からは新…