天武天皇評伝(十一) 天皇の誕生

白村江の会戦より前、皇極王が没した後、中大兄王子《なかのおほえのみこ》は太子のままで「称制」し、七年目になってようやく位を継いだ。『日本書紀』にはそう書いてある。ここで言う「制」とは皇帝の発する命令のことで、「制を称する」とはその位にないものが皇帝になりかわって命令を発することである。しかしこの非…