天武天皇評伝(十) 白村江に散る

唐の高宗の顕慶五年九月、唐の大将蘇定方《そていほう》が義慈王らを捕虜にして帰国すると、百済の遺臣鬼室福信《きしつふくしん》らの率いる反抗軍は、鎮将劉仁願《りゅうじんがん》の留まる旧都泗沘《しひ》城を攻めた。仁願が泗沘城に駐まる唐と新羅の兵を指揮して反撃したが、反抗軍は泗沘南方の嶺に砦を築いてなお隙…