古代史を語る

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2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史時代の始めに―史料を分析して論資とすること

古代日本に関する事件が、同時代的記録によって、絶対年代付きで知られる初めは、《魏志・東夷伝》の景初二年六月、倭の女王が大夫の難升米を帯方郡に遣わして、天子への朝献を申請した、という記事である。ただし、ここの景初二年は三年の誤写とするのが定…

南北朝時代の倭国(後編)

(承前)南朝宋の元嘉二十年(443)、倭王済は遣使奉献し、五年前に珍が受けた安東将軍・倭国王の爵号を引き継ぐことを認められた。これに続く動きは、二十八年、そして大明四・六年に記録されている。永初から大明まで、何らかの事情で遅れることや記録の漏…

南北朝時代の倭国(前編)

五世紀の南朝宋・北朝魏の対立から六世紀末の隋の統一までの約一七〇年間を普通に中国史の南北朝時代と呼んでいる。これを中国史の南北朝時代とはいっても、その状況は国際的なものであり、周辺諸国をも巻きこむものだった。だから二十世紀後半の日本を「冷…

弥生文化式都市国家論

かつては日本の都市は飛鳥・奈良時代の政治的計画都市に始まるとして誰もあやしまなかった。氏族制度の社会から都市国家の段階を経ずに領土国家ないし古代帝国的段階へ進んだと考えられていた。しかし弥生文化時代のいわゆる環壕集落の実態がだんだん明らか…